パニック障害
パニック障害とは?
パニック障害とは、急激な発作的な不安を繰りかえす病気になります。
「このままでは死んでしまうのではないか」というほどの激しい恐怖と不安に襲われ、過呼吸などに発展して倒れてしまうこともある病気です。
このようなパニック発作を経験すると、「逃げられない状況に対する恐怖」が強まります。
このような恐怖を広場恐怖といいますが、パニック障害に合併することが非常に多いです。
代表的な例としては、電車やバスといった乗り物、人の多い雑踏や映画館など、「自分がコントロールできない」と感じる状況に対して恐怖心が強くなってしまい、回避傾向が強くなります。
これによって行動範囲が狭まってしまい、当たり前だった日常生活が大きく制約されてしまうことも少なくありません。
パニック障害は脳の誤作動
パニック障害のような急性不安は、脳の機能的異常が背景に強いといわれています。
このためお薬によって治療することで、比較的すみやかにパニック発作が落ち着くことも多いです。
その一方で、再発することも少なくないので、しっかりと維持療法も含めて治療することが望まれます。
そして合併することの多い広場恐怖は、お薬で症状をコントロールしながら鳴らしていくこと(行動療法)が必要です。
できることから始めて、少しずつ行動範囲を広げていきましょう。
原因
不安は急激におそわれる急性不安と、漠然とした慢性不安に分けて考えます。
急性不安は何らかの脳の機能的異常が背景にあることが多く、慢性不安は気質や性格傾向などの心因が大きいと考えられています。
パニック障害のパニック発作は急性不安ですから、何らかの脳の機能的異常があると考えられています。
パニック障害は遺伝のせい?
パニック障害に明確な原因があるわけではなく、遺伝要因と環境要因が重なって発症すると考えられていますが、環境要因の影響が大きいと考えられています。
また、女性のほうが男性よりも2倍発症しやすいことがわかっています。
環境要因としては、
- 公私のストレス
- トラウマ(心的外傷)となる体験
- 性格傾向
などが要因となると考えられています。また、
- 喫煙
- カフェイン
などはパニック発作を悪化させる要因となります。
症状
パニック障害の本質的な症状は、誘因のないパニック発作と考えられています。
なにもきっかけがないのにも関わらず、急激な急性不安が生じてしまうことです。
ときには睡眠中に、パニック発作(睡眠時パニック発作)が認められることもあります。
診断基準ではこのようなパニック発作が、2回以上繰り返すこととなっています。
パニック発作があると、
- 予期不安
- 広場恐怖
が高まることが多いです。
回避が悪循環をもたらす
生活の中で不安を感じたときに、またパニック発作に襲われたらどうしよう(予期不安)と感じてしまうようになります。
その結果として、無理をしないように行動を避けるようになってしまいます。
逃げられない状況や助けが得られない状況など、自分でコントロールできない状況に対する恐怖(広場恐怖)が芽生えてくるようになります。
これに予期不安が重なると、苦手な状況を避けるようになってしまい、ますます苦手意識が固定されていってしまいます。
このように予期不安による回避行動が苦手意識を強め、パニック発作を起こりやすくしてしまいます。
こうしてパニック障害の症状は悪循環していき、少しずつ行動が制限されて生活範囲が狭まってしまいます。
治療
パニック障害の治療は、
- パニック発作を安定させるための治療
- 広場恐怖症を克服するための治療
の2つに分けて考えていきます。
パニック発作をコントロール
まずはパニック発作を安定させていきます。パニック障害の原因としては、何らかの脳の機能的異常が背景に大きいと考えられます。
このため、お薬による治療によって効果が期待できます。
具体的には、抗うつ剤を使っていきます。
セロトニンの働きを強めるお薬がパニック障害の脳のバランスを整え、パニック発作を落ち着けていきます。
抗うつ剤を服用することで、すぐに落ち着く方もすくなくありません。
ですが根本的な治療を行っているわけではなく、お薬によってパニック発作を抑えることで、少しずつ回復するのを待つ必要があります。
再発することも少なくなく、少なくとも1年間はお薬を続けたほうが良いといわれています。
広場恐怖症を克服する
多くの場合、広場恐怖症を合併しています。
その場合は、「コントロールできない状況」に対する苦手意識を薄れさせていく必要があります。
パニック発作が落ち着いてから、できることから少しずつ行動していき、成功体験を積み重ねていく必要があります。
行動面を重視した認知行動療法を行っていきます。
パニック障害でお困りの方へ
こちらの記事では、パニック障害の症状や原因、治療についてご紹介してきました。
パニック障害は、お薬の反応性が比較的良い病気になります。
パニック障害でお困りの方は、手塚こころみクリニックにご相談下さい。
さらにパニック障害について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了